そのジャンル早すぎた四輪駆動
1980年代乗用車の4WDはほとんどなく、スバルが製造していたレオーネくらいなものでした。
乗用車というジャンルではほとんど必要がないと考えられていたのでしょうけれど。。
4WDっていうとその頃はジープやランドクルーザーなど無骨なクルマのイメージでした。
雪道を走ったり悪路を走破するには4WDは便利だったりします。
それ用のクルマにしか搭載しないツールの一つと考えられていました。
1970年代後半にスバルが乗用車に前後駆動する4WDを投入したのが始まりでした。
無骨なイメージがあり実用で必要とする人か、よほどのマニア以外には受け入れられず、比較的販売では苦戦を強いられていたんです。
そんな中1985年に発売したスバルアルシオーネの基本コンセプトはそれまでの日本車とは少し違い、国内ではなく海外向けに開発された1台でした。
このクルマはCD値0.3と空気抵抗にこだわり徹底して空気抵抗を抑える研究をした結果、当時はまだそんなことに目を向けるメーカーがない中、驚異的な数字をたたき出し騒がれたものでした。
しかも、スバルが最初で最後?いまでもリトラクタブルライトのクルマは存在せず、このアルシオーネだけという気合の入ったクルマだったのです。
乗用車の4WDということですが、前後トルク配分を自動で制御する4WDを採用しており、日産のR32スカイラインGT-Rよりも4年早いタイミングで採用していたのも驚きというか、こだわりが感じられます。
見た目もドライブトレインも言うことなしなクルマでした。
なので、発売当初はそこそこの売れ行きでした。しかし、1985年の『プラザ合意』により、急激な円高となり、商品価値がものすごく
下がってしまいました。
そこで、起死回生のマイナーチェンジを行いました。これまでの水平対向4気筒に2つシリンダーを増やして、水平対向6気筒エンジンを投入したのです。
後継車のアルシオーネSVXも6気筒なのですが、このエンジンを使用しているわけではなく別のエンジンを搭載しているので、その意味でこの初代アルシオーネ専用に開発されたエンジンなんですよ。
(ER27)
その他にサスペンションはエレクトロ・ニューマティック・サスペンションを搭載しており、
ハイトコントロール(車高調整)機構付きで、標準車高の165mmとハイ車高195mmの2段階で任意の車高を選択可能だったんです。
また、ハイ車高で80km/hに達すると自動的にノーマル車高へ復帰、さらに50km/h以下になると自動的にハイ車高に戻る機能を備えていたんです。
乗用車の4WDはこの時期にアウディがクワトロで実現し大ヒットした背景もあり、丁度これから乗用車の4WDの時代がやってくるほんの少し前に頑張って開発したクルマだったんですね。
本当に夜明け前の少し早いタイミングで発売されてしまったクルマでした。
おりしも、スバルがアメリカでの販売政策に失敗し倒産間際まで追い詰められていたころの本当の意味で起死回生の1台でした。
しかし。。販売年数6年間で約9万台しか売れませんでした。
このクルマが転機となり、スバルはレガシーの大ヒットへと向かっていくことになったんです。
無駄ではありませんでしたね。。
クルマ自体はインテリアも、エクステリアも、エンジンも足回りもすべてこだわりを持ち、こだわって作った職人の思いが伝わるクルマでした。
やはり時代背景や流行、ニーズなど組み合わせがうまくかみ合わないとヒットしない良い例?なのかも知れません。
これだけこだわり抜いたクルマは今後もでてこないと思います。
一部のスバルマニアには超受けるのでしょうけれど、一般の人にはやはり受け入れづらかったのでしょうね。。
なにかスバルの前身の中島飛行機のエンジニアたちがいろいろなこだわりをもって製作したクルマなんだなと感じさせる部分が多く見られます。
ほんの少し時期が早すぎたのでしょう。タイミングが合えばもっともっとヒットしたクルマだったのではないでしょうか。。?
本日は乗用車の4WD黎明期のお話でした。
本日も最後までお読みいただき
ありがとうございます!