乗りこなす未完成ターボ
1970年代から80年代にかけて
自動車産業は大きく後退するかの
ようにエンジンも技術もクルマ自体も
進化することがなく、
むしろ排ガス規制のために
エンジン出力は落ち、60年代の黎明期
よりもむしろ性能は落ちていた。
そんな時代の1979年に
三菱ランサーEXはデビューしました。
当時はただのセダンでしたが、
車体の軽さと扱いやすさから
というより三菱だからからなのか
ターボを搭載したランサーターボが
発売されます。
オイルショック後の自動車産業は
エンジンをダウンサイズする代わりに
ターボを搭載して出力を稼ぐことで、
排ガスをクリアし、パワーも稼いだ
ように見せる手法を取り、あたかも
新開発かのような見せ方や売り方を
していました。
特に三菱のターボ技術は優れており、
各メーカーに供給するターボチャージャーは
三菱重工業製が多く見られました。
そんな三菱のクルマには当然三菱製の
ターボが搭載され、その時期の車種
ほとんどにターボが搭載されていた。
そんな時代だったんです。
当時のターボは回転数を上げてから
効果が出始めるまでに時間を要する
ために急に加速を体感するような、
ドッカンターボが多く、
タイムラグがむしろターボの
効きを体感でき乗っていて楽しい
感じでもありました。
ランサーターボは135psを発生
させラリーでも活躍します。
マイナーチェンジでインタークーラーを
搭載することにより、更にパワー
アップを図ります。
160psを発生させるG62Bエンジン
は三菱のシリウス80エンジンG63Bの
ボアダウン版でした。
輸出用のランサーEX2000には
G63Bが搭載されていました。
日本版ではなぜかダウンサイズの
エンジンを搭載していたんです。
このエンジンはのちにギャランや
ランサーエボリューションなどに
搭載される4G63Bの原型に
なるエンジンなんです。
すこしマニアックな話になりますが、
G63Bは85mm×88mmの
ストロークになりますが、
G62Bでは80.6mm×88mm
のストロークとなっていました。
G63Bはスタリオンやデリカなどに
搭載され、三菱の2000CCの
主力のエンジンでした。
ですが、基本設計は1970年代という
こともあり、鉄の鋳物製で重量が
非常に重いことが欠点であり、
同時に耐久性には優れた素材でも
ありました。
未来への布石
このエンジンンに4バルブツインカム
を搭載してターボをつけたものが
ギャランVR-4に搭載された
4G63Bの最初のエンジンだった
んです。
その後280psまで出力を上げ
後継機種に代わっていきます。
話は戻りますが、
G62B搭載したこのモデルも
モータースポーツでは大活躍しました。
特に1980年代の前半から中盤
まではFRでもまだ活躍する余地が
残されていたんですね。。
通称ランタボ=ラリーで活躍した。
というイメージが強く残っています。
80年代前半から中盤にかけての
車種なので、やはりドッカンターボ
と言われるターボラグがあって、
それを乗りこなすことができると
結構速く走ることができ、
クルマを操縦している感がありました。
そんな80年代のドッカンターボは
今にして思えばまだ開発の余地があり、
人が介在して楽しめるクルマだった
気がしてなりません。
思った通りの加速は自然吸気の
クルマにはかないませんが、
ターボラグを計算して
乗りこなすことができた時に
すごく気持ちの良い、
特別なクルマだったんです。
セカンドギアで
3500回転から4000回転
に少し欠けるくらいの回転数
まで上がった時にターボのスイッチが入り、
それまでのモッサリした感じから
急に加速する。
座席の背もたれに吸い付かされる
Gを感じながら走ることができる、
乗りこなすことが楽しいクルマ
であったことを思い出します。
未完成でも不完全でも
人が介在していて乗りこなす
そんなアナログ感が残っている
この時代のクルマは今乗っても
きっと面白いに違いありません。
随分タマ数は減ってしまったので
価格も結構上がっていますが。。
それでもいまならまだ程度が良い
クルマを手に入れることができる
かもしれません。
まだ間に合います。
80年代初頭から中盤にかけての
あのドッカンターボ。
もう一度乗ってみたいと思いませんか。。?
本日はバブル少し前の
未完成なでも、味のある
ランサーEXターボのお話でした。
本日も最後までお読みいただき
ありがとうございました!